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唐崎の松に異変 2017年 12月長大な樹幹を形成し風景の主役として、大津市の唐崎神社にある「唐崎の松」は歌川広重が描いた近江八景の一つ「唐崎の夜雨」で全国的に知られる名木です。現在の松は明治20年に二代目の実生から植えられた三代目で、樹齢130年、樹高10m、胸高周囲3.5m、枝張り東西26m、南北25mの双幹立ちの一本の松です。両幹とも内部は空洞化し、過去にウレタン樹脂が充填されています。樹木管理は地元造園会社が行っており、数年ごとに発注者である神社側が管理業者を替えています。 私が異変を聞き、駆けつけたのは9月の最初でした。 樹冠半分の針葉が変色し、全体に薄緑色で、枝先には枯死した枝葉もあります。下部の枝は針葉が赤変してしおれて垂れ下がり、完全に枯死しております。 私は管理業者さまへ話を聞きに行きました。 9月に至るまでの経過と処置は、“今年4月に枝の一部に針葉の変色が見られた。また新芽の伸長が昨年より短く、異常を感じ樹木医に相談した。対策として炭と菌根菌を活用した樹勢回復工事を計画し、金ゴテで土中に穴を開け炭入れを実施する。また松材線虫病を疑い、樹木医によるマツノザイセンチュウ調査を行うが、個体は未確認である。病害虫防除においては、地上散布型であり、樹幹注入は未実施である。” とのことでした。 現在は枯死枝を伐採し処置完了ですが、往年の雄姿を感じるために残された、生理的異常のある幹部が残されたことで、穿孔虫の産卵温床になり、二次的被害を発生させることが残念です。柵内に立ち入れないために未確認ですが、この幹にマダラカミキリがすでに産卵している可能性もあります。もし産卵痕、またはマダラカミキリのフラスがあるならば、直ちに伐採すべきだと思います。 現在、管理者側の所見では、樹勢衰弱による枯死で、残り半分の樹冠部は延命治療にベストを尽くすと発表されております。もし私がこの松の管理者だったならば、異変に気が付いた時、「自分なら何か出来たのだろうか?」と考えてしまいました。また、「早期に異変に気がつき、早期になんらかの対応が出来ていれば、ここまでの枯死には至らなかったかもしれない。」とも考えました。 |
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